発達栄養学111 エネルギー代謝に必要な水溶性ビタミン

エネルギー源である糖質、脂質、たんぱく質は、細胞の中でアセチルCoAに変換されてからミトコンドリアでエネルギー産生が行われています。
糖質がブドウ糖に分解されるときにはビタミンは関与していませんが、ブドウ糖がアセチルCoAに変換されるときにはビタミンB₁、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸が必要となります。脂質が脂肪酸に分解されるときにはビオチンが働き、逆に脂肪酸が脂質に合成されるときにはナイアシンが働きます。また、脂肪酸がアセチルCoAに変換されるときにはビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸が必要になります。
たんぱく質がアミノ酸に分解されるときにはナイアシンが、逆にアミノ酸がたんぱく質に合成されるときにはビタミンB₆、ビタミンB₁₂、葉酸が必要になります。また、アミノ酸がアセチルCoAに変換されるときにはビタミンB₆が必要になります。そして、アセチルCoAからエネルギー産生が行われるときにはビタミンB₁、ナイアシン、葉酸、ビタミンB₁₂が必要になります。
このようにビタミンB群が組み合わされて、代謝が行われています。だから、代謝を正常に保って、生命維持のためのエネルギーを作り出すためには、これらが含まれる魚、肉、卵、野菜などはバランスよく摂る必要があります。
脂溶性ビタミンのビタミンAは脂肪酸と結合して肝臓や脂肪細胞などに蓄積され、必要に応じて全身の細胞に運ばれ、成長促進や粘膜維持などの作用を行います。ビタミンDは肝臓でコレステロールからも合成され、カルシウムの吸収を促進するほか全身の機能調整に関わっています。ビタミンKは血液凝固などに関与しています。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEには抗酸化作用があり、活性酸素を消去して細胞の老化を防ぐ働きをしています。