食事を1食抜いたら、摂取される糖質が減るので、血糖値が上昇しにくくなるはずですが、逆に血糖値が上昇します。特に上昇しやすいのは食後血糖値で、食事をしたあとに血糖値を測定すると糖尿病並みの高血糖になっていることがあります。食後といっても“食直後”ではなくて、最も血糖値が上昇する時間帯の食後2時間後を指しています。
1食を抜くと、空腹状態になって、すぐに重要なエネルギー源であるブドウ糖を早く吸収するために、「小腸での吸収が高まる」ということが以前から言われてきました。いまだに、そのようなことを言って、朝食抜き、昼食抜きを戒めるような発言をする医師も少なくありません。
しかし、これは都市伝説のようなもので、それが本当なら食事量が少ない人は、1日に2食にして同じ量を食べることでエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を多く吸収させることができることになります。しかし、そのようなことはありません。
1食を抜いても、朝食か夕食を抜くのではなくて、昼食を抜いたときには、それほど大きな血糖値の上昇は起こりにくくなっています。その理由は、朝食と夕食で摂るエネルギー代謝のためのビタミンの摂取量が違ってくるからです。
糖質に含まれるブドウ糖が血液中に入ると血糖となります。血糖値は、血液中のブドウ糖の量を示す値です。血液中のブドウ糖が高くなると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、全身の細胞にブドウ糖が取り込まれるようになります。細胞に取り込まれたブドウ糖は、エネルギー産生の小器官のミトコンドリアに取り込まれ、その中で4種類のビタミンB(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)を使って、エネルギー産生が行われます。
ビタミンB₁とビタミンB₂は体内で24時間ほど保持されるのですが、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどしか保持されません。そのため、ビタミンB₆とビタミンB₁₂が含まれた食品は朝食と夕食で摂らなければならないのです。だから、朝食か夕食を抜いてはいけないということです。
ブドウ糖のエネルギー化が低下すれば、血糖値は下がりにくくなります。そのことから食後血糖値に影響を与えているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕