健康情報共有25 日本人は脂肪で糖尿病が進行する

糖尿病というと、血液中のブドウ糖の量を示す血糖値が上昇することで診断されるので、ブドウ糖が含まれる糖質の摂りすぎによって発症するとされています。そのことは世界的に共通していることではあるものの、日本人の場合は少し違っています。血糖値だけでなくて、中性脂肪値が高まることでも糖尿病を発症して、悪化していくという特殊な体質の持ち主であることが指摘されています。

先にブドウ糖の摂取過剰によって糖尿病になるメカニズムを説明しておくと、血液中のブドウ糖が増えると、膵臓からブドウ糖を細胞内に取り込ませるホルモンのインスリンが分泌されます。これによって血糖値が下がっていきます。

膵臓はブドウ糖が多くなるほど、血糖値が高い状態が続くほどインスリンは多く分泌されます。ブドウ糖は重要なエネルギー源であるので、それを多く取り込んで、エネルギーを作り出すのは生命維持に欠かせないことです。そのためブドウ糖が多く体内に入ってくる間は、インスリンは出続けます。そして、膵臓の限界を超えたときに、急にインスリンの分泌量が大きく減ってしまいます。そのために血糖値が下がらなくなるのが糖尿病の始まりです。

膵臓は歴史的にインスリンを多く分泌させてきた場合には丈夫であり、機能も高くなっています。ところが、日本人は血糖値が大きく上昇して、しかも長時間に渡って血糖値が上昇し続けるようなことは歴史的になかったことから、膵臓の能力が低くなっています。それが欧米人に比べて少ない量の糖質摂取でも糖尿病を発症する理由となっています。

インスリンは余った糖質を肝臓の中で脂肪に合成するホルモンでもあります。また、インスリンは合成された脂肪(中性脂肪)を脂肪細胞の中に蓄積させるホルモンでもあります。

歴史的に肉食が多い欧米人や北方アジア人はインスリンが多く分泌される体質です。それに対して、日本人は多くのインスリンが必要ではなかったことから、肉食が増えて、脂肪の摂取量が増えると膵臓に大きな負荷がかかります。それが日本人の糖尿病を増やす結果となり、厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、国民の5人に1人が糖尿病か予備群となっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕