エネルギー代謝44 食事療法と運動療法は医師の仕事か

生活習慣病の改善には、エネルギーコントロールとエネルギー代謝が必要です。エネルギーコントロールは食事の摂りすぎ、偏りがある場合には、これを調整することを指しています。エネルギー代謝は、食事で摂ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を効率よくエネルギー化して、そのエネルギーを使って健康を維持することを指しています。

糖尿病を例にすると、いきなり医薬品(血糖降下剤)を使うようなことはありません(してはいけません、と言ったほうがよいのか)。

糖尿病は、食事療法と運動療法で改善するのが前提で、その効果が表れにくい場合に、初めて医薬品を使うこととなっています。血糖値が糖尿病と判断されるレベルまで高まった場合には、まずは食事と運動での改善が指導されます。ところが、それをしないまま医薬品を使う医師が少なくないのが実態です。

というのは、医師は治療法の指示をすることはあっても、実際の食事療法と運動療法の指導をするわけではないからです。医師の中には食事療法の栄養指導をする方がいないわけではないものの、積極的にやっている方はいません。“いません”と断定した言い方をしているのは、期待しても実現が難しい制度上の問題があるからです。

栄養指導は医療機関の管理栄養士の仕事で、それ以外の人(医師も)が栄養指導をしても保険点数がつかないので、稼ぐことができません。運動指導は理学療法士や健康運動指導士の仕事です。保険を使わない自費で実施することはあっても、高い金額がかかるのに、わざわざ医療機関で指導を受けようとは思わない人が多いのです。

医師が診断をして、処方を示して、そのあとに栄養指導、運動指導に回してくれればよいのですが、医薬品で治そうということが多いのは事実です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)