運動をして身体が温まってくるのは、体内で脂肪が燃焼しているわけではなくても、代謝が高まってきた結果です。前回で触れたことですが、細胞の中にあるミトコンドリアのTCA回路で生化学反応が起こることによって、エネルギー物質のATPが発生しています。
その過程では多くの種類のビタミンが必要であり、多くの酵素が働く必要があります。酵素を働かせるためには補酵素が必要で、その補酵素の役割をしているのが複数のミネラル(鉄、銅、亜鉛、マグネシウムなど)です。
酵素が働くためには温度が必要で、ある程度の温度になることで酵素の活性度が高まり、代謝も高まっていきます。運動をして筋肉が温まり、身体が全体的に温まってくるのは酵素の働きがよくなって、代謝が進んできている証拠といえます。
酵素は温まればよいというわけではなくて、酵素の種類によっては温度に差はあるものの、ほとんどは37℃前後の温度帯で活性が高まります。そして、38℃を超えると酵素の活性は低下してきます。運動によって身体が温まると代謝が高まり、高まりすぎると代謝が低下するということで、身体が温まると汗が出てきます。汗による気化熱で皮膚から放熱をして体温が下がるようになります。
ところが、汗をかくのは代謝が高まっている証拠だと思って、汗を多くかくために身体を温まったままにしようとする人がいます。その特徴的な例がサウナスーツで、ボクサーはサウナスーツで汗を多くかくようにしています。これは体内の水分を減らして体重を減らすためです。
汗が出て体重が下がるとしても、汗が出続けるような状態は全身の細胞が温まりすぎて、脂肪の代謝は低下しています。運動によって減らしたいのは体脂肪です。汗をかき続けるのは代謝が低下するということがわかれば、汗が出るまでは上着を着ていても、汗が出てからは上着を脱ぐか、前をはだけで体温が上がりすぎないようにするのが効果的な方法だということがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕