健康情報103 魚類の解体見学や鮮魚の観察が幼児に与える効果

幼稚園、保育所や認定こども園における教育・保育要領は、小学校入学前までに生きる力の基礎となる心情、意欲、態度などを育むために定められています。

領域の一つである「環境」では、周囲のさまざまな環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養うことを狙いとして掲げており、こうした力は自然体験などを通じて育まれます。

日本は周囲を海に囲まれ、幼児期から潮干狩りや釣りといった漁業体験をする機会が多いことから、日本の子どもは魚介類に高い関心を示す傾向が知られています。魚介類を用いた体験は、生態系との関わり、食と生命尊重を関係づけて考える機会の提供につながりますが、具体的にどのような体験が子どもの発達に効果的なのかについては十分な知見がありませんでした。

近畿大学農学部環境管理学科と日本さかな専門学校の研究グループは、魚介類の体験活動プログラムである「どこでも魚市場」に参加した延べ1万人以上の幼児について、夢の記録と魚介類の絵の分析を行い、魚の解体を含む調理過程の見学や、すべての感覚器官を使った生鮮魚介類の観察という屋内での体験活動プログラムが、屋外保育の一部代替的な役割を果たすことを明らかにしました。

研究グループは、プログラムに参加した年長クラスの幼児が体験前後7日間に記録した睡眠時の夢と、魚の絵(前後1枚ずつ)をそれぞれ比較分析することで効果を検証しました。

夢の内容を分析した結果、夢の記録の総数は開始後から減少傾向だったのに対して、魚介類が出現する夢の記録はプログラム体験の翌日に増加し、一部体験内容と関連性の強い記録も見られました。

また、絵の内容を分析した結果では。魚類の鰭条の表現が体験後に有意に増加しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕