健康成分が含まれていれば効果があるのか

テレビの料理番組で材料を紹介するときに、必ずといってよいほど食材に含まれている健康効果がある成分について話す管理栄養士がいます。それが事実であれば、特に問題がないように思っているから放送されているのだと思われますが、その健康効果が血圧や血糖値を下げること、血液サラサラとなると、料理に使われる材料の分量が気になってしまいます。どんなに効果がある成分であっても、その量が少なかったら望むような結果を得ることはできません。それは当たり前のことなのに、「こんなに少ない量なのに、そこまで言うか」と感じさせられることも少なくありません。
少ない量しか摂れないのに健康効果が述べられると、それに安心してしまい、食べること以外の健康的な行動をしないということにもなります。例えば、水溶性食物繊維を摂ると血糖値の上昇が抑制されるのは本当だとしても、どれくらい抑えられるかが問題です。血糖値が上昇しすぎる人は、食品に含まれるブドウ糖が少ないものを食べるか、多いものであったら量を少なくすることが、まずは求められます。それをしないで、それほど多くはない水溶性食物繊維に期待するのは、ちょっと無理があります。
ちなみに、水溶性食物繊維は海藻やキノコ類、果物に含まれる粘度が高い食物繊維で、胃から腸にゆっくりと移動することから、ブドウ糖の吸収が遅くなって血糖値が上昇しにくくなります。しにくくなるだけで、しないわけではありません。もう一つ、ちなみに話ですが、血糖は血液中のブドウ糖のことで、血糖値は血液中のブドウ糖の量を示します。なぜブドウ糖というのかというと、果物のブドウから初めて発見されたからで、ブドウにだけ多く含まれているわけではないのです。
料理番組では、この食品は、これによい、という情報を、それぞれの食品について紹介していて、この料理を食べれば病気にならないのではないか、ひょっとすると病気が治るのではないかと感じさせるような伝え方をしていました。しかし、これだけ食べれば大丈夫と言うものは存在しないので、いろいろなものを食べるようにするしかないということです。