健康食品の法規制29 「予防なら大丈夫」ではない

病気を治すようなことを健康食品の販売に関して表示したり、口で述べたりすることは、医薬品的な効能効果を伝えたということで取り締まりの対象となります。

これは医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に掲げられている医薬品の定義の解釈であって、この定義によって医薬品だけに許されていることを健康食品が表示した場合には、偽薬を販売したことになり、法律によって厳しく処罰されます。

病気を治すわけではなくて、病気にならないようにする予防であれば規制の対象にはならないと考えている人もいるのですが、医薬品医療機器法の定義では、「疾病の診断、治療、予防に使うことを目的とするもの」は医薬品となります。つまり、予防であっても病気の名前をあげたり、病気の予防を標榜するようなことを言ったら、“これは医薬品ですよ”と言って販売しているのと同じだという判断をされるのです。

病気の予防に使うものといったら、ワクチンが該当します。それだけでなく、血圧が高くても、まだ高血圧症の診断基準に達していない人に対して、予防的に使用するものも医薬品ということになります。

この基準に該当しないものの、表示が許可されているのは特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の許可を得たもので、これらは一定の範囲内で機能性を表示することができます。その範囲は「血圧の上昇を緩やかにする」といった程度のもので、高血圧症の名を出したり、高血圧を治すというようなことは、通常の健康食品には許可されていません。

予防効果なら大丈夫、というようなことを平気で言っているコンサルタントや弁護士などもいますが、そのようなことがないことは医薬品医療機器法に基づく「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」の中に、しっかりと書かれています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕