健康食品の法規制47 会社の責任を個人が問われた実例

広告内容が法律違反に問われた会社があると、処分を受けるのは基本的には法人(会社)です。個人の責任が問われることがあっても社長(代表取締役)だけ、社長とグループ会社のオーナーといったことで、他の役員や営業マンが責任を問われたというのは、あまり聞いたことがありません。

“あまり”と表現したのは、過去に広告の責任者となっていた部長が個人で責任を取らされるようなことがありました。違反事例があったときには、国税が調査に入ることがあります。このことは以前(健康食品の法規制43)に紹介しましたが、これは嫌がらせではないのかと思われるようなことを言われた会社がありました。

それは「違反広告は誰の判断で出したのか」という問いで、社長の判断というようなことを言うと、会社への処分が厳しくなるのではないかとの思いから、部長は「自分の判断」と言いました。

そのときは、何もない状態で済んだのですが、年度末を過ぎてから税務署から部長個人に対して税金の収入が少ないとの指摘がありました。「個人の判断で出した広告は個人の収入から出したのではないか」という言いがかりのような指摘です。

そのときに収入ではないかと言われた金額は広告10回分で1億円を超えていました。それが個人の収入とされたら、税金の支払いだけで破産してしまう金額です。

実際に、どのような結末になったのかは対面のアドバイスや講習のときに伝えさせてもらっていますが、悪質な広告、そんな広告を出す会社と見做されると、思いもしなかった結果になるという規制側の厳しさを伝えるネタにもしています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕