健康食品 敵か味方か4 機能性表示食品制度で変わった食品規制

機能性表示食品制度が始まったのは、2017年(平成27年)4月からです。機能性表示食品は国が定めるルールに基づいて事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などを消費者庁に届け出ることによって機能性を商品パッケージなどに表示できるものです。国による審査は必要ありません。

それ以前の特定保健用食品(トクホ)は、販売する商品を用いた試験によって生理学的な機能を持つ成分(関与成分)の有効性を証明して、消費者庁長官の許可を得る必要があります。

これに対して、機能性表示食品は、商品そのものの試験が絶対条件ではなく、有効性が認められた成分を扱った論文が存在するだけで届け出をすることができます。他社の機能性表示食品と同じ成分が含まれていれば、機能性表示食品として販売できる制度です。

機能性表示食品は、いわゆる健康食品の形状のものだけではなくて、一般の食品(お茶やバナナなど)でも届け出をすることができます。機能性表示食品は、その機能性が表示できるといっても限界があり、医薬品にだけ許可されている疾病の診断、治療、予防に関すること、身体の構造や機能に影響を与えることは表示することはできません。

機能性表示食品の届け出をしていない食品が、機能性表示食品と同様の表示をすることは禁じられています。以前であれば、食品は有効性を表示しても問題がないとの認識のままに医薬品の有効性の範囲に踏み込んだことを書いた紙(POP)を店頭に貼るということも引っかからない時代もありました。

しかし、今では機能性表示食品と同様のことを表示した場合には、より厳しく規制されるようになっています。そのことを知らないまま、食品だからといって表示している例も少ないないのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕