発達栄養講習47 これさえ食べれば大丈夫というもの

今回のテーマの「これさえ食べれば大丈夫というもの」と言えるものがあればよいのですが、栄養学や医学の大家(「たいか」で「おおや」ではありません)と長年交流をして、一緒に研究を進めてきているものの、残念ながら、そのようなものに出会うことはできていません。

栄養学的には、人間は霊長類の頂点に立ったときから、何でも食べられるようになったこともあって、雑食になりました。それは逆に言うと、すべての栄養素が必要な身体になってしまったということです。

だから、嫌いなものは食べないという好き嫌いは、それによって不足するものを明らかにして、代わりのもので補うということができないと健康面でも機能面でも大きなマイナスになってしまうということです。
これだけ食べればよいというものはなくても、これだけは摂っておかないと困るというものはあります。ビタミンは、それぞれの働きがあって、体調面で優れないところがあると、それに該当する栄養素だけを摂ろうとする傾向が一般には多い傾向があります。

しかし、ビタミンは単体としての働きだけではなくて、複合的に組み合わさることで重要な働きもしています。それはエネルギー代謝に関わるもので、中でも水溶性ビタミンは、たった一つ(ビタミンC)を除いては、すべてが揃っていることでエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)がエネルギー代謝の初めの高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化するために必要です。

また、アセチルCoAがミトコンドリアのエネルギー産生のTCA回路でエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すときには4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要になります。

1種類でも不足すると効率よくエネルギーが作られなくなるわけですが、このエネルギーは身体活動のためだけでなく、全身の細胞の中の生化学反応に使われるので、細胞レベルで機能が低下してしまうことになるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕