健康食品 敵か味方か43 膝の痛みは膝を動かして治す

膝痛を改善するための健康食品の素材としては、グルコサミンとコンドロイチンが代表的なものとして知られています。他にも複数の素材がある中で先行してメディアに登場したのはグルコサミンとコンドロイチンで、テレビの健康番組で初めてグルコサミンとコンドロイチンの話をしたのは私の義父の薬学博士でした。そのこともあって、ずっと有効性と効果的な使い方について関心を持って見続けてきました。

グルコサミンとコンドロイチンが作用するのは膝の軟骨です。軟骨は骨と骨が触れ合う部分にあって、その間に潤滑液があることで動きがスムーズになります。軟骨成分と潤滑液が不足してくると、軟骨が受ける刺激が強くなり、軟骨がすり減ってきて、軟骨の下側の骨が壊れてトゲ状になります。

このトゲが反対側の骨や周辺組織を刺激することで痛みが起こり、炎症も進んでいきます。このことが膝痛を発生させて、歩きにくい、階段の上り下りがきつい、座ると痛い、座ると立ちにくいといったことの原因となっています。

グルコサミンとコンドロイチンを摂っていれば、それで軟骨が再生されて、潤滑液も増えて痛みがなくなるのかというと、それほど簡単なことではありません。軟骨成分は血液中に入ってから、骨を通って必要なところに運ばれるわけではありません。

関節は滑膜という風船状の組織で包まれていて、その中に滑液が含まれています。血液中に入った軟骨成分は、毛細血管を通って滑膜の中に入り、そこから軟骨に取り込まれていきます。滑膜に入るときには関節が動くことが必要で、ポンプ作用によって取り込まれていきます。

そのためには膝に痛みがあっても、膝の関節が動くことが必要です。痛みがあるのに膝が動くように曲げ伸ばしや歩行がすすめられるのです。

軟骨のすり減りは長い期間をかけて起こってきたことなので、短期間で改善するはずはないのですが、健康食品によっては、比較的短期間で痛みが弱くなったり、場合によっては痛みが消えることがあります。それは痛み止め効果がある素材も含まれているからで、痛みが弱まったからと続けて摂取すること、動くようになることで成分が運ばれるようになるということを期待しての配合です。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕