加熱によってEPAは減少していく

血液サラサラ成分のEPA(エイコサペンタエン酸)は青背魚に多く含まれているものの、調理法によって含有量が低下していきます。EPAなどの不飽和脂肪酸は加熱によって破壊されやすく、そもそも不飽和脂肪酸は酸化しやすくなっています。青背魚に多く残っていたとしても、酸化していたのでは仕方がありません。
脂肪酸には肉類に多い飽和脂肪酸と魚類や植物油に多い不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は他のものと結びつかない飽和状態になっていて、安定性があり、常温では個体となっています。不飽和脂肪酸は常温では液体で、他のものと結びつきやすいのですが、何と結びつくかというと酸素です。酸素と結びつくことが酸化です。
EPAが最も多いのは生の状態で、刺身にして食べたときを100%とすると、焼いた場合には約80%に、煮た場合には約70%に減少します。加熱時間も大きく影響していて、60分も煮た場合には30%ほどに減っていきます。高温で調理するといっても衣がついているものは減少が少なく、フライでは約90%、天ぷらでは約60%となっています。
加熱をすると酸化してEPA含有量が減るだけではなく、トランス脂肪酸が発生します。トランス脂肪酸はトランス型の二重結合がある不飽和脂肪酸で、植物油に水素添加をしたマーガリンやショートニングに多く含まれています。また、加熱によっても発生します。悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを増やして、動脈硬化のリスクを高めることが知られています。加熱料理に植物油を使うとトランス脂肪酸が増えるので、EPAの残存率だけでなく、調理法にも気配りをしたいものです。