卵は朝食に食べるものか

子どものときに食事のときに親から聞いた言葉で、今でも鮮明に覚えていることに「果物は朝は金、昼は銀、夜は銅」ということがあります。朝に食べたほうが健康によいということを示していて、この記憶が今の栄養素の吸収量が摂取タイミングによって変化することを研究する一つのきっかけになっています。
なぜ朝は金なのかという説明は子どものときにはされていなくて、そもそも金・銀・銅の話をされたのは夕食後にデザートとして果物(確かリンゴだったような)を食べているときだったので、疑問を抱えたまま成長したものです。今にして思うと、日本の朝食は欧米に比べると食品数が少ないので、食品数を増やして、いろいろな栄養素を摂るためにもよいことです。しかし、メディカルダイエットで果物を代謝促進に使う方法として、夕食後に物足らなさを感じたときにお菓子ではなくて、果物を摂ることをすすめてはいるのですけれど。
朝食がパンと牛乳だけという場合には、果物は朝食に摂ってもよいのかなとは思いますが、朝食の定番のハムに目玉焼きという組み合わせで朝からしっかりと食べているなら、あえて朝食に果物を食べる必要もないのかという考えもあります。
子どもの頃に同級生から、生活習慣病の食事療法を始めた父親だけが朝食に卵が出なくなったと聞いて、保健体育の教師に「卵は身体によくないのか」と聞いたことがあります。卵はコレステロールが多く含まれるから健康によくないというのが間違いであったことを厚生労働省が認めて、「日本人の食事摂取基準」にコレステロールの上限がないと記載されたのは2015年版でした。
いくらでも卵を食べても大丈夫になったのかというと、今度は2020年版には脂質異常症がない人に限ったことで、検査数値に異常が出た人は、1日に200mg未満に抑えることが望ましいと記載されました。卵1個に含まれるコレステロール量は250mgほどです。
誰もが、どれだけ食べてもよいということではなくて、人によって違うというのは、考えてみれば当然のことといえます。悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールの値が高い人は朝食に卵を食べたら、そのほかの食事では控えるようにしたほうがよいということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)