古い情報はウソになる

「これまで教えたことは全部ウソです」
ある教育現場をテーマにしたドラマで、卒業の日に熱血教師が生徒に話した印象的な言葉ですが、これを健康教育のときに当法人の講師もよく用いています。
健康、医学、科学の世界は進展スピードが速すぎて、今覚えたことを、そのまま伝えたらウソになるという意味ですが、例えば医学関係の資格認定者が厳しい更新制度による講習と試験を受けていれば、常に新しい情報を取得して、発信していくことも可能でしょう。しかし、医師国家試験に合格すれば、それから先はアメリカのように定期的な更新教育と試験はありません。学会に所属したり、独自に勉強して自ら更新していかなければなりません。それぞれの医師が、どんな更新をしているのかは外部からはわからないので、発信している情報が最新のものなのか、古くて今では間違っている情報なのかはわかりにくいのが実情です。
情報が変化していくことについて卑近な例として、よくあげられるのが健康食品のアガリクスです。ブラジルのキノコで、免疫細胞の栄養源になる多糖類が豊富ということで、がんを予防することを願っている人に使われてきました。メディアに登場した当初は、強火で加熱するとビタミン、ミネラルが壊れるので、初めは弱火で煮出したものを第一液として、次に強火で煮出して多糖類が出たものを第二液として、混ぜて飲むということが紹介されました。
しかし、アガリクスの細胞膜は硬くて、煮たくらいでは中身の成分は外に出てきません。今では発酵技術や圧力による細胞膜の破壊などによって成分を抽出できるようになりましたが、その情報が完全に更新されているわけではなく、未だに無駄な摂り方をしている人もいます。新たな抽出法によって多糖類とは違うアガリクスの成分によって発がん性が認められたという逆効果になったという報道もあって、何を信じてよいのか迷わされている人も少なくありません。