噛む噛むeverybody15 歯の喪失の防止

厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止について紹介します。

◎歯の喪失の防止(咀嚼機能の維持)
8020運動が推進されている中、50歳以降では平均して2年に1本強の歯が喪失していて、60歳ですでに17.8歯と20歯を下回り、80歳以上の1人平均現在歯数は4.6本となっています。

こうした歯の喪失を防止し、咀嚼機能を維持していくという観点から、80歳において20歯以上の自分の歯を有する者の割合を増加していくことを目標として設定しています。それとともに、歯の喪失が急増する50歳前後の人に対するより身近な目標として60歳において24歯以上の自分の歯を有する者の割合を設定することとしています。

それぞれ10年後に対象年齢となる70歳と50歳の現状をもとに、80歳で20歯以上、自分の歯を有する者を20%以上、60歳で24歯以上を有する者を50%以上とすることを目標としています。

歯の喪失のリスク因子としては、いくつかの疫学調査の結果によって、喫煙、進行した歯周病の有無、口腔清掃の不良、根面う蝕の有無などが示されていますが、対象数や調査項目、観察期間などの制約から十分明確にされているとはいえません。

しかし、成人に対する介入研究の結果などにより、定期的な歯石除去、歯面清掃、定期的な口腔診査による早期治療が歯の喪失防止に重要であることが示されていて、これらをリスク低減目標として設定しています。

(具体的なリスク低減目標は次回に紹介します)
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕