土が痩せると何が起こるのか

“土が痩せる”という表現があります。実際に土が太ったり痩せたりすることはなくて、水分を吸った分だけ量が増えるし、乾燥すると量が減ることはあっても、これで土が痩せるわけではありません。痩せるというのは健康的なダイエットを心がけている人には良いイメージかもしれませんが、栄養不足の時代には痩せるのは栄養が足りていないということで、土も栄養が足りなくなっていることを指しています。
そんな痩せた土で植物を育てると、土の中の栄養素が植物の中に入ってこないので、植物も太らないことになるので、肥料を畑に撒くという方法が取られました。昔は動物の糞や藁などの有機肥料でしたが、今では窒素、リン酸、カリウムなどの化学肥料が多くなりました。これらを入れてあげることで土を肥えるようにすることができますが、それが良くなかったのだと言う人もいます。
しかし、植物にとって悪いものではありません。有機肥料の中には必ずしも植物の栄養になるものだけが含まれているのではなく、余計なものも含まれていて、これを除いたものと同じものが化学肥料となりました。
しかし、こういった肥料を使い続けたことで、植物の栄養は低下しました。特に低下したのはミネラルです。この不足したミネラルを畑に撒けばよいのかというと、いくら撒いても植物の中に取り込まれる量は期待したほどには増えてくれません。というのは、ミネラルはイオン化してから植物の根から吸収される仕組みになっているからです。
土が自然の状態でない痩せた状態になると、土の中の微生物が少なくなり、ミネラルのイオン化は低下します。ここを解決しないと植物の中のミネラルは増えていかないのです。動物の糞には余分と思われていた微生物がたくさんいて、これがミネラルをイオン化させるのに役立っていたのです。
ミネラルは体内の酵素に欠かせない補酵素であり、有害物質が身体の中に入ってくると、これを分解するために酵素が働くときにミネラルが多く使われます。植物から摂るミネラルが減ったうえに、身体の中のミネラルも減っているわけです。
これは動物だけの話ではなく、植物も有害物質が入ってくると、それを分解するためにミネラルを使い、そのためにミネラルが減っているわけです。ミネラルはおいしいものではなく、量が増えるとまずくも感じさせます。そこで、おいしい野菜にするためにミネラルの少ない品種というのもあります。
痩せた土ではなく、太った土の植物、実際には肥えた土地と表現されていて、肥えた土の植物となりますが、誰もが口にできるものではありません。少なくともミネラルが減っていることを意識して、野菜や果物などの植物を多く食べるように心がけることから始めるべきです。