学習障害173 暦年齢で学習レベルを測ってよいのか

学校教育は4月1日から翌年の3月31日までが学習期間の区切りとなっています。そこで学ぶ生徒も、通常の1年の区切りの1月1日から12月31日までではなくて、学習の年度に合わせています。誕生日が4月1日から翌年の3月31日までなのかというと、そうではないことは広く知られています。“早生まれ”と呼ばれる4月1日が誕生日の子どもは翌年の年度に組み込まれています。早生まれは正式には1月1日から4月1日の間に生まれた子どもを指しています。
このような区切りになっているのは、教育基本法で、小学校に就学できる年齢が「満6歳に達した翌日以後の最初の4月1日」と定められているからです。これに従って、各学年は4月2日から翌年の4月1日生まれの子どもで構成されることになります。そして、1月1日から4月1日に生まれた子どもは一つ上の学年に入ります。
これは国が定めた区切りであるので、国の制度に従った学校で学ぶためには受け入れるしかないことですが、区切りがいつであったとしても、早く学ばなければならないことになった子どもの負担は大きなものがあります。子どもの発育は個人差が大きく、暦年齢が6歳に達したら、誰もが同じ能力であるわけではありません。発達障害は周囲に馴染めないところがあり、学習にも差が現れやすく、同じくらいの誕生日の子どもと比べても、学習能力に遅れが見られることがあります。
それに加えて、国が定めた区切りのために1年間分の違いがあったら、大きな遅れがあり、同じスタートラインに立っているはずの新学年が、実はスタート位置が違っている、それも発達障害、学習障害がある子どもにとっては大きな差があるところからスタートしなければならないという状況です。
本来なら、試験結果にハンデを与えて、差を調整して、見た目の成績と実際の成績との両方を記録するということがあってもよいはずです。パラリンピックでは同じレースに参加しても障害の度合いによってトップ3に入れなかった選手が、実はカテゴリーによってメダリストになることも目にしました。こういった教育を学校に求めても現実は無理であるので、それをカバーするために生物年齢(心身の年齢)、認知機能に合った教育をする場が必要となってくるのです。