学習障害179 学習意欲を高める応用行動分析

応用行動分析の紹介に続いて、学習面での問題行動の改善法について紹介します。通常の問題では理解しにくいときには、穴あき問題が使われます。穴あき問題は、重要なキーワード以外は示されていて、まさに穴の中に言葉を入れていくもので、そのヒントは示された問題文の中に隠されています。
席順などの順番で埋めるところを指していくと、学習障害がある子どもが苦手な問題を当てられることがあります。その問題を解答できなかったことが気にかかり、簡単な問題もでなかったことが失敗体験となり、学習意欲が大きく低下することになります。そこで初めに最も簡単な穴あき問題を当てて、穴うめ解答をさせてあげます。この解答に対して、「他の子どもの解答のヒントになった」という言葉とともに感謝を伝えることによって、また解きたくなる、解くために頑張ってみるというモチベーションの向上につながります。
最も簡単な問題を解いたことに気づかない子どもは実は少なくて、そんな問題を当てられたことがモチベーションを下げることにもなります。そこで2〜3の穴あきがある問題を出して、その中から自分で解答するものを選んでもらいます。そして、解答をしたら誉めることが大切ですが、難しい問題を入れるのではなく、学習に課題がある子どものための問題を作ります。自分で選んだのだから責任をもって解答するということで、よい結果が出ると、もっと解答したい、そのために学びたいという意欲が高まるように誘導していきます。
このように小さな成功体験も、積み重ねていくことで周囲が望むように導いていくことができるようになるわけですが、これは教科の好き嫌い、教科書や問題集の好き嫌いの改善にも応用されます。できないと思い込んでいたことが、できたときの喜びを味わうことでモチベーションが高まるだけに、教える側は教科書や問題集の特性を熟知して、子どものできる体験を導いていくために、徹底してできる問題をピックアップする工夫が必要になってきます。