学習障害182 教科書を使って苦手をクリア

学校での教科に馴染めないのは、教室の雰囲気や教師の教え方なども原因となっていますが、もう一つ原因となっていることに教科書があげられます。教科書は全員が一緒に学び、充分に理解できるように作られています。ある特定の子どもに適したものではなくて、平均的な内容がクリアされていて、その理解の上に次のステップに進むことができるように構成されています。
それだけに、どこかでつまずいてしまうと、そこから先に進むことができなくなり、どんどん授業は進んでいく、自分だけが取り残されて、どんどん離されていくという結果になってしまいます。だから、つまずきがあったら、すぐにクリアするために何が問題なのか、どうして理解できなかったのか、どうすればクリアできるのかを知り、改善に取りかかりたいところですが、学習障害では、それを教室の中での授業に求めることは無理というものです。
学習塾ではクリアできなかったことを気づかせ、クリアするために何度も問題を解かせるということをしています。それで改善できればよいのですが、発達障害、学習障害がある子どもはクリアできなかった教科書を嫌いになってしまうところがあります。そこで他の教科書を使ったり、サブテキストの参考書を使う、教科書を使わずに塾のオリジナルのペーパーを使うということをしています。
この方法でうまくいけばよいのですが、できることなら苦手になりかけている教科書を使ってクリアさせてあげて、教科書を嫌いにさせない、できることなら好きにさせてあげるということを考えるようにしたいものです。学習障害の子どもの中には、覚えられないというよりも、覚えるのに時間がかかる、覚えて回答するまでに時間がかかるということも少なくありません。
教科書を嫌いと感じてしまうと、その教科書を使うことを拒否するようになり、そのままでは教科書を嫌いになってしまいます。嫌いと感じたときに、教科書を使って問題が解けて、それが嬉しい、楽しいと感じると嫌いという感覚が徐々に弱まっていきます。教科書は学びのためのエッセンスを詰め込んで遭って、実によくできています。それを活用することを考え、実践することが学習障害の改善には大切なことなのです。