学習障害183 餌で釣るようなことはしてはいけない

応用行動分析では、学習意欲が高まらない子どもに対して、他の成功体験、ご褒美をあげることによって学習に取り組むように導いていく手法も使われます。学習塾に行きたくないという感情が高まっている子どもに対して、学習での成功体験が得られるようにするのがよい方法であると言っても、その場に行きたがらないのでは成功体験を得ることができなくなります。
そこで、行くと他によいことがあるということで行動を起こすようにするわけですが、親が多く使いがちなのが、お菓子が食べられる、家に帰ってからおいしいものを食べさせてあげる、塾の帰りに一緒に好きなものを買おうというようなことです。それがきっかけになって、学習をしたところ、学習での成功体験が得られたということならよいのですが、お菓子などで釣るようなことを繰り返していると、だんだんとお菓子がないと行動しない、もっとおいしいお菓子が食べたい、好きなお菓子を食べさせてくれないと塾に行きたがらなくなるということにもなっていきます。
このような餌(エサ)で釣るようなことをしていると、学習の成果が喜びではなくて、食べ物が喜びになってしまいかねません。夕方から通う学習塾の場合には、本来の夕食時間と重なることから、何かを食べなければならないのに、学習に集中させるためといって空腹を我慢して学習を続けさせることにもなります。
発達障害児は自律神経の調整が乱れやすく、その改善には睡眠リズムを調整することと同時に、食事時間による自律神経の調整も必要になります。軽食であってもよいので、本来の夕食の時間に食べ物を取り入れるようにして、自律神経のバランスが乱れないようにするべきです。
だから、塾では食べ物を口に入れる時間があってもよいわけで、それがご褒美になるような特別においしいものでなくても、胃腸を整える、脳の働きによいものでよくて、そのことを子どもたちが理解をして食べることができれば、これが通いたくなる塾とすることにも役立てることができるということです。