ポストコロナ「急いで回れ」1

誰でも知っている諺(ことわざ)の「急がば回れ」は、急いで物事を成し遂げようとするときは、危険がある近道を行くよりも、安全確実な遠回りをするほうが早く目的を達成できる、得策だということを指しています。この諺の舞台となったのは、琵琶湖だと言われています。今の草津市の矢橋(やばせ)港から渡し船で行くのは早いものの、強風で転覆の危険があるので、瀬戸の唐橋を渡る陸路で行くほうがよい、ということで、平安時代の和歌に読まれています。
実際に、どれくらいの差があるのかというと、渡し船だと矢橋から大津までは2時間であるのに陸路では4時間となっています。これだけの短縮のために危険を冒すくらいなら、確かに遠回りしたほうがよいというのは当たり前のように思われます。しかし、これは発祥の地の話であって、諺として使われるときには、もっと大きな時間差があり、距離的なことだけではなくて仕事などにかかる手間暇を指している場合には、遠回りこそが成功への道ということも少なくありません。
今回は「急がば回れ」をもじった「急いで回れ」がテーマですが、急ぐときには遠回りをすすめていても、同じスピードで進んでよいということではなくて、遠回りであったら、それなりの速度を保って進むべきです。“それなりの”と言っているのは、あまり急ぎすぎたら体力や気力が続かずに、途中でストップしてしまうことにもなりかねないことが多々あるからです。
今回は5回にわたって同じテーマで書き進めていきますが、健康づくりで回るといえば、サーキットトレーニングがあげられます。これは無酸素運動と有酸素運動を繰り返す運動法で、マシントレーニング(無酸素運動)とエクササイズ(有酸素運動)を交互に30秒ずつ繰り返す女性専用のジムで有名になりました。この方法をマシンなしに、ただ歩くだけで同様の効果を得て、コロナ禍で大きく低下した国民の健康度をV字回復させるために活用しようという歩くサーキットトレーニングの有効性について説明させてもらいます。
その前に、コロナ禍で大きく変化した健康面での社会的状況について説明が必要で、それについては次回に続きます。