学習障害185 学習障害を隠しての学習対応の難しさ

学習障害児のための学習塾は、そこに通う子どもたちが、自分のことを知っているのかどうかが教える側にとっても重要なポイントなります。学習塾に通わせたいと相談に訪ねてくる保護者の中には、子どもに発達障害であることを言い出せなくて、それを本人に隠したままで学習能力を高めてほしいというリクエストをすることも多々あります。
塾での成績の向上を願ってはいるものの、そこが発達障害による学習障害児のための教室だということがわかると、そこに入るようにすすめた親が子どもから不信感を抱かれてしまう、悪くすると嫌われてしまうという思いを強く抱いていることも少なくありません。
そのようなリクエストの理由を聞いてみると、塾の講師から面談のときに発達障害、学習障害という言葉が出たことがあって、本人に向かって言うようなことがないようにしてほしいというのが大半です。有能な講師は、そのようなことを言うことはありません。子どもたちが見ることがあるかもしれないホームページやSNSでも用語には注意をして、発達障害、学習障害というワードは使わないようにしています。
それでは、どうやって知らせて、集客するのかということですが、チラシや口コミなどを駆使するほかに教育委員会の協力を得ることもして保護者に伝わるようにしています。そして、塾の説明会を開いて、学習障害児のための学習塾であることをしっかりと伝えて、子どもたちにはわからないようにすることも伝えるようにしています。
もちろん、保護者だけを対象とした説明会であるのに、その場に子どもを連れてくる方もいます。その子どもにカミングアウトをしているのかどうか、それがわかないと発達障害、学習障害の特性を踏まえての学習指導という本論さえ伝えにくくなります。説明会が始まる前に来てくれれば、先に確認して対応することもできるのですが、中には始まってから途中で子どもを連れて訪れる方もいて、気になって本論が充分に伝えられないまま終わってしまったということもあります。
本来なら、子どものことを考え、その子どもの能力を引き出すための学習の機会であることを考えると、本人に話をして、ある程度は納得した状態で通わせてほしいのですが、それができない場合も少なくありません。学習障害児のための学習塾は教えることのほかにも検討しなければならないことが多くあるのです。