ポストコロナ「急いで回れ」5

「急がば回れ」ではなくて、「急いで回れ」というテーマを掲げて社会的な状況を考えてきましたが、コロナ後の対策としては、まさに急いで回ることをすすめています。
効率よく代謝を高める運動としてサーキットトレーニングが行われています。これは身体的な負荷が強い無酸素運動と、負荷が弱い有酸素運動を交互に繰り返す方法ですが、これを歩いて行うのがインターバルウォーキングです。サーキットトレーニングのウォーキング版といっても、同じコースをグルグルと回るわけではなくて、早歩きと普通歩行を繰り返すものです。ただ早歩きをすればよいというわけではなくて、無酸素運動に近づけるような歩き方と速度が重要になります。その方法を学んで身につければ、いつでも自分で実施することができます。
早歩きをすると筋肉中の酸素が減って無酸素運動になり、血流量が増えます。急ぐことによって血液を早く回します。その後に有酸素運動で酸素を多く取り込むことによって、ブドウ糖と脂肪酸を効果的にエネルギー化する代謝を高めることができます。これだけのことでは若い人は筋肉が増えるところまでは進みにくいのですが、高齢者は速歩だけでもエネルギー不足の状態になり、これを補うためにAMPキナーゼというサテライト(衛星)細胞を増やす酵素が多くできます。このサテライト酵素は、運動によって傷ついた筋肉細胞の周囲にタンパク質を多く作り、このタンパク質が筋肉に取り込まれて筋肉細胞が太くなっていきます。
高齢者にとっては、速歩でも充分な筋肉トレーニングになっているのです。高齢者は長く速歩を続けることは難しくても、速歩と普通歩行を繰り返すインターバルウォーキングなら続けられます。コロナ禍で大きく低下した健康度、中でも歩く機会が減ることによって起こった健康度の低下は、歩いて取り戻す、それも一気に健康度を押し上げることが重要です。
早歩きができない人の場合には、身体負荷を高める歩き方をすることが必要ということで、2本のポールを使って歩くノルディックスタイルのウォーキングを採用しています。ポールがあれば歩行速度も上がりますが、速歩ほどではなくても、ノルディックスタイルのウォーキングでは全身の筋肉のうち首から下の90%を使うことから、身体負荷を20%以上は高めることができます。これを通常の速歩の代わりとして、普通歩行との繰り返しによって代謝を高める歩き方をすることによって、健康度の押し上げを行っていこうとしているのです。