学習障害33 聴覚系の課題の困難さ

聴覚系の課題が見られる子どもでは、聞き取りがうまくいかないために、読み方が一致していないことがみられます。全体的な発達のペースは比較的ゆっくりで、視覚−運動系に比べると聴覚−音声系の発達に弱さがみられます。聞いたことを自分の考えにして、言葉で言い表すことが苦手で、語尾をはっきりと発音することができずに、文末が曖昧になりがちという特徴があります。
日常生活に必要な言葉は理解しているものの、習得している語彙数は少なく、そのために理解できないことがある場合には、知っている言葉に言い換えて、理解が進むようにすることが初めの段階では大切になります。
視覚系に課題がない場合には漢字の形は認識できて、書くこともできるものの、読み方と一致していないことがあります。そのために感じの読み替えの困難や同じ読み方で意味が異なる漢字を書く当て字も起こります。正確に理解している言葉が少ないことから言葉の切れ目がわからなくなるために、初見(初めて見た)文は言葉をまとまりとして把握できず、逐次読みとなりがちです。何度か読みの練習を繰り返すことで、徐々に読めるようになります。ただし、文字を手がかりとして記憶した文を読むことから読み飛ばしや勝手読みをすることも起こります。
聴力が劣っていることがなくても、音韻意識の弱さがみられます。音韻意識というのは、単音のつながりで言葉ができていることがわかることで、「い」と「ぬ」の2音で「いぬ」となり、これが漢字では「犬」と書く動物を示すことを理解することを指しています。音韻意識に弱さがあると話の内容が理解できにくくなるだけでなく、言葉を使った他人との関わりが消極的になり、文字を読むことを楽しく感じないことにもつながります。