学習障害9 書字障害は漢字筆記を義務づけない

小学1年生で漢字を学ぶときには、学んだ漢字は、すべて漢字で書くことが求められます。それができるのが普通であるとの考えがあるからですが、発達障害の学習障害のうちの書字障害がある子どもは、読むことができても書くことができないということがあり、書けない漢字があることがプレッシャーになって、漢字を書くことが嫌いになることもあります。この嫌いという感情が、せっかくの学ぶ機会を逃してしまうことにもなります。
学んだ漢字は、単に記憶すればよいというものではなく、生活の中で活かす必要があります。そのため、実用として使えるように漢字を組み合わせて学ぶようにします。
文部科学省の学年別漢字配当表のうち、小学1年生で学ぶ80字の中には、円、本、字、年、月、人、名といった漢数字と組み合わせて意味をなすものがあります。漢数字の一は「いち」と読み、一つであることの記号ですが、円や本、年、月と組み合わせると具体的に数えることができるものになります。
本来なら四本と書くところが、書字障害で、どちらかの漢字が書けなかった場合には、まずは漢字で書いても、ひらがなで書いてもよいというように伝えて、必ずしも感じで書くことを求めないように書字障害に対応しています。漢字で書くことを負担に感じると、その前の聞き取りがうまくできなくなることにもなります。正確に聞き取って、そのまま書くということを習慣づけることが優先されます。それができるようになったら、ひらがなを漢字にするように、段階を踏んで学ぶようにすることです。
漢字で書けるようになっても、たまには間違えることもあります。間違えたところで指摘したい気持ちもわかるのですが、すぐに指摘して直したほうがよい子どもがいる一方で、文章などを書き終えてから指摘したほうがよい子どももいるので、画一的な対応をすべきでないということを伝えるようにしています。