忘れる脳力11 ネガティブな思考の回数

忘れないことには覚えることができないというのは、脳のメカニズムからも当たり前のことで、無駄なことは、すぐに忘れられるというか、思考をしたら無駄なことはスルーされる仕組みが脳にはあります。

アメリカ国立科学財団(NSF)の研究では、思考は1日に1万2000回から6万回も行われているとされていて、そのうち9割は前日と同じことが繰り返されているといいます。

アメリカ国立科学財団は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が管轄する医学分野以外の科学・工学分野に対する支援を行っています。

9割が前日と同じこととなると、多い場合には5万回以上も同じことを思考していることになります。1秒に1回は思考しているという研究もあって、「60秒×60分×16時間」(睡眠時間を除いた時間)では、5万7600回となります、

さらに、9割も同じことを考えているうちの8割がネガティブ(否定的、消極的)なことだとされています。これこそ無駄な思考のネガティブシンキングと考えられがちですが、むしろネガティブシンキングのほうが重要という考えもあります。

ポジティブシンキングは、ネガティブなことを否定して、問題点は置いておいて、積極的な考えをするのですが、そのために同じ過ちを犯し、トラブルに書き込まれることも多々あります。

これに対してネガティブシンキングは、トラブルや問題点を繰り返し思い出すことを指していますが、思考の後に行動を起こさなければ、マイナスにもなりかねません。しかし、問題があったときに考え直し、問題点に立ち向かうことで、より積極的に行動することができるようになります。

問題点を考えることを続けることで、思考をまとめていくことによって大きなプラスになるわけで、思考がまとまらずに、ただ積極的に動くだけではいけないという発想となります。

思考がまとまらないままに行動するのは、医学的には統合失調症、適応障害、発達障害の一つの注意欠陥・多動性障害などと判定されることにもなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕