感染拡大から考える腸管免疫の重要性

新型コロナウイルスに限らず、ウイルスに対しては体内の免疫が大きく関係しています。免疫は敵と味方を識別して、敵だけを攻撃することを一般には指しています。その免疫を司っているのは免疫細胞と呼ばれる白血球とリンパ球ですが、攻撃力が強いリンパ球は骨髄で作られて、胸腺で成長してから全身をパトロールするようになります。胸腺の働きが40歳ころから低下し始めます。その低下を補って免疫を調整しているのは腸管免疫です。
腸管免疫というのは腸内にある免疫細胞が集まっているパイエル板によって免疫が強化されていることを指しています。パイエル板がウイルスなどを察知すると免疫細胞が協力して働き、腸管だけでなく全身の免疫を高めていきます。腸管免疫を正常に働かせるためには、腸内環境が整えられていて、腸内がきれいな状態になっていることが求められます。腸内が汚れていて、ウイルスとパイエル板が触れ合わないと腸管免疫が働かないことになります。
腸内が汚れないようにする一番の方法は、腸内細菌の善玉菌を増やすことです。腸内細菌の総数はほぼ決まっていて、善玉菌は増えれば悪玉菌が減り、善玉菌が減れば悪玉菌が増えるという関係になっています。逆にいうと、悪玉菌が増えると善玉菌が減り、悪玉菌が減ると善玉菌が増えるという関係になっているということで、善玉菌を増やすこと、悪玉菌を増やさないようにすることが重要となります。
善玉菌も悪玉菌も活動のためにはエサが必要です。善玉菌の主なエサとなるのは糖質と食物繊維です。悪玉菌の主なエサとなるのは動物性たんぱく質と脂肪です。つまり、肉食が多くて食物繊維が少ない洋食は悪玉菌が増えやすく、善玉菌が増えにくいということになります。
腸内細菌の増殖には腸内の温度が関係していて、悪玉菌は温度が低くても高くても増殖しますが、善玉菌は温度が高めの状態で増殖します。血流をよくして、腸にも多くの血液を送り込み、腸内が温まれば腸内環境が整えられることになるということです。