日本人は皮膚の角質層が薄い

日本人は、角質層が薄いことによってメリットと同時にデメリットもあります。日本人は表皮が薄い分だけ真皮と皮下組織が厚く、角質層から真皮が透けて見えやすく、肌が白く見えやすくなっています。角質層が剥がれやすいため、基底層で作られた細胞が有棘細胞、顆粒細胞と形を変えながら角質層まで上がってくるまでの期間が約2週間と短く、表皮の代謝サイクルのターンオーバーが起こりやすくなっています。そのため、肌の新陳代謝が盛んになり、肌の老化も進みにくくなっているのです。
角質層は皮膚の外側の角質化した細胞に核がない扁平した死細胞で、これが剥離したものが垢となります。角質は硬タンパク質のケラチンで、それが重なって層となっています。角層細胞には細胞間脂質があり、細胞間脂質は角層をつなぐ役割をしています。顆粒層は角質層と有棘層の間にある表皮の層で、顆粒細胞が2〜3層に重なっていて、外からの刺激から皮膚を守る役割をしています。角質層に近づくほど扁平していきます。有棘層は有棘細胞が10層ほど重なった表皮で、表皮で最も厚くなっています。層の間をリンパ液が流れ、顆粒層を構成するタンパク質が作られ、知覚神経もあります。基底層は表皮の深層で有棘層と真皮の間にあり、ケラチノサイトの細胞分裂が最も盛んに行われています。ケラチノサイトは角化細胞とも呼ばれます。基底層は1層しかなく、真皮との接着の役目をしています。
日本は高温多湿の環境から皮脂腺が発達しやすく、これが日本人の皮脂量が白人よりも20%も多い理由とされていますが、皮脂量が多いことで肌水分も多くなります。こういったことによって日本人は小ジワができにくく、きめが細かく、張りがある日本女性に特有の肌を作り出していました。
ところが、今では紫外線を多く浴びるようになり、また紫外線の量も増えた上に、洗顔のしすぎや化粧品の使いすぎ、ピーリングなど皮膚にダメージを与える機会が多くなったことから、弱い肌が強い刺激を受けることになり、これがデメリットを起こす結果となっています。