日本人は血液温度が低いので脂肪に弱い

日本人の血液温度は38℃ほどとなっています。この温かな血液が次々に送られてきて、放熱よりも勝っていれば身体が冷えるようなことはありません。牛や豚、鶏の血液温度は40〜42℃で、この温度の中で脂肪は溶けていますが、それよりも低い人間の血液に入ると固まってしまいます。魚は変温動物で、冷たい水の中でも溶けて固まらないので、それよりも温かい人間の血液に入ると、もっと溶けるようになります。肉食文化が長い欧米人は肉類の脂肪を燃焼させる力が強いことから熱エネルギーの発生量が多く、血液の温度も39℃ほどで動物に近い温度になっています。肉の脂肪を摂っても欧米人は健康被害が出にくく、日本人は病気のリスクが高くなると言えるわけです。
低温度では溶けにくい飽和脂肪酸であっても、おいしく感じますが、それは遺伝子に組み込まれた記憶のせいだといわれています。脂肪のエネルギー量は1g当たり約9kcalで、たんぱく質と糖質は約4kcalなので、その2倍以上のエネルギー量があることは、よく知られています。
少ない量で多くのエネルギー量が摂れることは、食べ物が少ない時代を生き抜くには重要なことでした。できるだけ多くのエネルギー量が摂れるものを食べられるように、脂肪がおいしいと脳に刷り込まれてきたわけです。その記憶は、食生活が豊かになった今も変わることがなく、脂肪を多く摂りすぎるようになってしまいました。特別に意識をしなくても、「脂」を摂りすぎるのなら、意識をして摂るべきなのは「油」です。
魚類や植物油に多く含まれるオメガ3の油は中性脂肪やコレステロールを減らし、生活習慣病のリスクを低減させる作用はあるものの弱点もあります。それは酸化しやすいことです。また、加熱によって酸化が進みやすく、有害なトランス脂肪酸を生成させます。スイーツにはトランス脂肪酸が多いことが指摘されるマーガリンやショートニングが使われることが多いので、できれば減らしたいものです。