日本人をやせにくくさせているホルモン

日本人は太りやすく、やせにくい体質となっていますが、その原因の一つとしてレプチン抵抗性があげられます。レプチンは食欲を調整する機能があるホルモンで、日本人はレプチンが分泌されやすくなっています。レプチンには満腹を感じさせる作用があり、正常に働いていれば食欲が高まりすぎないように抑制されています。
レプチンは脂肪細胞から分泌されていて、脂肪細胞の中の中性脂肪が増えると分泌量が高まっていきます。レプチンは間脳の視床下部に作用して、満腹中枢の働きを高めることから食欲を抑制する働きをしているのですが、レプチンには自律神経の交感神経にも働きかけ、中性脂肪の蓄積を抑制して、エネルギー消費を亢進する作用もあります。
脂肪細胞に中性脂肪が多く蓄積されすぎる状態は、生体機能を正常に働かせることには妨げとなることから、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が増えるほど、レプチンが多く分泌されるようになっています。この機能が正常に機能していれば過剰な肥満は起こらないはずです。
しかし、肥満と呼ばれるほど太っている人の血液中のレプチン量を測定すると、分泌量が多くなっています。それにも関わらず中性脂肪が多く蓄積されるのは、視床下部でレプチンを受け取る受容体の反応が不十分であるからです。この状態はレプチン抵抗性と呼ばれています。つまり、レプチン抵抗性の人は、満腹サインが出ていながら、それを感じることができずに、食欲が抑えられなくなっているということです。
このようにレプチン抵抗性が起こってしまう原因としては、長期間にわたってレプチンが多く分泌されるような状態が続くことによって、受容体の働きが鈍くなってしまうことが考えられています。これを改善するには、長い期間をかけて、徐々に中性脂肪が蓄積されにくい身体にしていくことが大切な方法となります。