統計は前提によって結果が異なるので、都合のよいような結果を引き出すことも可能です。その一つの例としてあげられるのは“晴れの国”と呼ばれる岡山県です。呼ばれるというよりも岡山県は晴れの国をアピールしていて、観光やフルーツなどのブランド化にも役立てています。
晴れというのは日照時間を一般には指していて、日照時間の都道府県のランキングを見れば、一番の晴れの国は、どこなのかはわかるはずです。しかし、どの統計なのかによって結果は違っていて、1年のみの統計なのか、何年かの日照時間の平均なのかを確認する必要があります。単年のデータ(2017年)を見ると、1位は山梨県、2位は埼玉県、3位は群馬県、4位は静岡県、5位は茨城県、6位は岐阜県、7位は宮城県、8位は愛知県、9位は高知県、10位は神奈川県となっています。岡山県はというと15位です。山梨県の年間日照時間は2205時間であるのに対して、岡山県は2012時間と193時間の差があります。調査した年によっては岡山県は23位だったこともあります。これだと全国平均ということになります。
数年の平均の日照時間はどうなのかというと、20年間の平均では1位は山梨県、2位は高知県、3位は群馬県、4位は宮崎県、5位は静岡県、6位は長野県、7位は和歌山県、8位は徳島県、9位は岐阜県、10位は愛知県となっています。ここでも岡山県を見てみると、ここでも15位となっています。
では、何をして岡山県は晴れの国なのかということですが、降水量が一番少ないと思われているようです。しかし、雨が降っていない日が多いということで、曇りの日でも雨が降っていなければ晴れのうちにするという感覚です。実際はどうかということですが、雨が降っていない日が一番多い、というのが根拠です。これにも異論があって、何をもって雨の日とするのかによって結果が変わってきます。ここで採用されているのは「降水量1mm」で、降水量が1mm未満の日が一番多いのが岡山県です。もう一つ注目点があって、岡山県全地域の平均ではなくて、調査対象となっているのは岡山市です。キャッチフレーズを打ち出すときに、いちいち裏付けを出していくわけにもいかないのですが、根拠は何かくらいは考えるようにしてほしいのです。