ウォーキングを継続すると考える力が取り戻せる

認知機能と考える力は、あまり変わらないように思われがちですが、認知機能が維持されたり、向上すると考える力が高まるとは言いにくいところがあります。認知機能は記憶に関する脳の能力で、記憶力がよければ、それだけ考える創造性に関わる能力が高いわけではありません。海外の研究成果を引用して申し訳ない気持ちもあるのですが、アメリカのコロンビア大学などの研究チームの研究では、有酸素運動が認知機能に好結果を与えていることが確認されています。
この実験では20〜67歳の132人に対して週4回の運動を6か月継続してもらっていて、さまざまな健康データと認知機能を測定するテストの回答データを収集しています。参加者は有酸素運動のグループと、ストレッチ運動と体幹トレーニングのグループに分けられて、全員が心拍計を装着して心拍数がモニターされて、運動量が正確にチェックされました。3か月後、6か月後に記憶力と思考力を計測するテストを実施したところ、有酸素運動を行ったグループは6か月で思考力が顕著に向上していました。
有酸素運動は、50歳段階では思考力で10歳は若く、60歳では20歳も若いという計算になるといいます。有酸素運動の代表というとウォーキングですが、足を動かした運動が脳の神経細胞に有益な結果となるとされています。足を動かす運動というとウォーキングを思い浮かべるところですが、足を使う運動の中でも階段の上り下り、スクワットなどの負荷がかかる運動では脳にシグナルが発信され、健全な神経細胞が作られるようになります。足を動かさないと神経細胞が作られにくくなります。
ウォーキングは余計なことを考えないで、脳をリラックスさせることができる効果的な運動ですが、あまり考えないようにする運動が、実は考える力を高めてくれるようにするということで、適度なウォーキングを続けることは身体と脳を同時に鍛えてくれるということを知ってもらいたいのです。