歯磨きの後の舌磨き

「マヌカハニーのテレビコマーシャルをやっていますね」というメールがありました。健康情報をやり取りしているメディア関係者からですが、テレビで流れているのは“まろやかハニー”です。ヤクルト菌を用いた飲料にハチミツを加えたもので、2017年10月から2018年の1月までの限定発売と聞いています。メールをしてくれた方は、口の中の環境の胃の中の環境、さらに腸の中の環境のためにとニュージーランド産のマヌカハニーを食べているのですが、特に気にしているのは口の中の環境だと話していました。
腸内環境というと、善玉菌と悪玉菌のバランスを整えて、“腸内フローラ”を美しい状態にすることを目指して食生活の改善に取り組む人も増えています。日本メディカルダイエット支援機構では腸内環境は健康的なダイエットのためには重要と考えていることもあって、さまざまな情報発信を行っています。その中の一つに口内環境があり、その手段の一つとしてマヌカハニーがあります。手段の一つということは他にも手段があるということで、舌磨きの情報も提供しています。
口の中には300〜700種類もの菌がいるといいます。数としては歯磨きをよくする人の場合には1000億〜2000億個、あまり歯磨きしない人では4000億〜6000億個、そしてほとんど磨かない人では1兆個を超えるといわれています。この数を見て、「肛門より汚い」と言った人がいました。肛門の菌の数は調べたことがないのですが、便中の菌は1g当たり100万個といわれているので、確かに多すぎる菌数です。
口内の菌が増えると口臭の原因となります。口の中はベタついた感じになり、増えすぎた菌によって虫歯や口内炎になる危険性が高まるだけでなく、肺炎や糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞の発症リスクを訴える専門家も少なくありません。口内の菌は悪いものだけではなく、常在菌と呼ばれる身体に悪さをしない菌もいます。善玉菌のようなもので、良い菌と悪い菌がバランスを取っていることで美しい“口内フローラ”が形成されています。
このお花畑のようなフローラが乱れてくると、免疫低下を起こして、これが病気につながってくるとの指摘もあります。その前に口臭が強くなるのは誰しも気になります。欧米ではドラゴンブレス(竜の口臭)と呼ばれるほど強烈な口臭の人がいます。さぞかし気にしているのかと思ったら、自分の臭いには気づかない、周りの人の口臭も強いので気づかないということで、口臭が全体に弱い日本人は少しでも口臭が強くなると気になって仕方がないということになります。
口臭が強い人は歯磨きだけでなく、お口クチュクチュの液剤を使ったりしますが、原因の解決も必要で、その対策として舌苔(ぜったい)の除去があげられます。舌の苔(こけ)と書くように、舌の上にできる苔のようなもので、歯磨きのついでに歯ブラシで舌の表面をこすってみると黄色い汚れがつきます。舌苔が多い人では茶色に変化します。少ない人だと白っぽくなります。舌の表面には味蕾という味を感じ取る蕾(つぼみ)のような受容器があり、歯ブラシでこするとブラシにも舌苔が付着しますが、味蕾の中にも押し込まれるようになって、これが口内の菌を増殖させる要因にもなります。
舌の表面には食べかすが残り、適度な温度と水分があるので、菌が増殖するには絶好の条件となっています。それに加えて免疫が低下していると常在菌が戦えなくなって、悪さをする菌が大増殖していくことになります。朝は目覚めた後か食後に歯磨きをしますが、舌磨きは専用の舌ブラシを使って起床後に舌苔を取っておきたいものです。寝ている間に増えるので、就寝前にも習慣化したいものです。飲酒後にも舌苔は増えます。味蕾は傷つきやすいので、あまり擦りすぎないことだけは注意が必要です。