治検15 「酒に強い = 肝臓が丈夫」ではない

肝臓の健康状態の指針として、血液検査によってGOT、GPT、γ-GTPが測定されます。GOTはAST、GPTはALTと表示されることもあります。

これらの数値に異常がなければ肝臓の健康状態は保たれていると一般には認識されています。飲酒は、これらの数値に影響を与えますが、酒に強い(酔いにくい)状態で、検査数値に問題がなければ肝臓は丈夫であると考える人がいます。そのように考える人のほうが多いかもしれません。

しかし、肝臓には2000種類以上の酵素があって、代表的な肝機能検査で使われるGOT、GPT、γ-GTPは、わずか3種類の酵素の状態がわかるだけです。

GOTとGPTは肝臓でつくられる酵素、γ-GTPは胆管でつくられる酵素で、これらはトランスアミラーゼと呼ばれています。肝臓の細胞の中にある酵素で、細胞が破壊されることで血液中に放出されています。その量を測定することで、どれくらい肝臓の細胞が破壊されているのかを知ることができます。

肝臓の細胞が多く破壊されて、その中にある他の酵素が多く放出されていても、検査の項目にないので、全体的な肝臓の機能の状態を知ることはできません。

肝臓の機能というと、有害物質や薬物の分解・解毒がよく知られた機能で、アルコールの分解もこれに含まれています。この他に栄養素(たんぱく質、脂肪酸、コレステロール、グリコーゲンなど)の合成と貯蔵、ビタミンの活性化といった役割、脂肪の分解に必要な胆汁酸の合成・分泌などの働きがあります。

2000種類以上の酵素を使って、これらの機能が細胞内で行われているのですが、酵素が減ると、その分だけ細胞の機能が低下して、肝機能も低下していくことになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕