治検2 医師以外も使う専門用語

健康診断の血液検査を見ながら、医師から言われるのは「すべてが正常値の範囲なので、これまでの生活を続けてください」とか「一つだけ正常値を超えているので注意してください」といったことで、正常値を超えた項目が多くなると精密検査の受診や専門家による指導が指示されます。

専門家というのは医師だけでなく、食事に関わる改善が必要なことは管理栄養士、生活習慣(飲酒、喫煙、睡眠、入浴、ストレスなど)に関わることは保健師、運動に関わることは理学療法士や健康運動指導士などを指しています。

健康に関する情報の理解度が、すべての指導を受ける人に共通しているなら同じ指導をされても同じように理解して、同じように実践することができるのかもしれませんが、理解度には大きな差があるのは事実です。

そのため、同じことを伝えても、どこまで心に響いて、理解できるかは個人によって大きく違っています。ましてや医師を含めた治療の専門家が使う専門用語(治療用語)がわからないと、何が問題なのか、何を指示されているのかがわからず、治療の改善が進まないということにもなりかねません。

もっとわからないのは医師から言われることが多い、「これまでの生活を続けてください」「注意してください」という言葉です。「これまでの生活」と言われても、どんな食事や運動、生活習慣を過ごしているのかわからないのに、そのようなことを言われても困るという人がほとんどです。

ましてや「注意してください」と言われたとしても、何を注意しなければならないのか具体的に示されなかったら実践することはできません。

このようなことを医師に対して話すと、検査数値の結果を示して、その用紙に説明書きがあるので「わかっているはず」という反応が多くみられます。この「はず」というのが問題で、一定の知識がなければ説明されていることを理解することも、実践することもできません。

医師は専門用語を、わかりやすい言葉に変えて伝えようとしているのに、医師の指示によって指導をする管理栄養士や理学療法士が専門用語を使うために、理解が進まないということも、よくあることです。

指示をした医師は伝わっているはずと思っていても、そうではないことも少なくありません。そのようなミスマッチを防いで、適切な治療をすべての人が受けて、健康の維持・増進を目指すためにも「治検」の意味があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕