発達栄養学112 水溶性ビタミンの機能と多く含まれる食品

発達栄養学111回で紹介した代謝のために必要な水溶性ビタミンについて解説しますが、このうち4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)は発達栄養学110回で紹介しました。今回はビオチン、パントテン酸、ナイアシン、葉酸の特徴と多く含まれる食品について解説します。
ビオチンは、水溶性のビタミンB群で、ビタミンHとも呼ばれます。糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に関わる補酵素で、皮膚や粘膜の健康維持に関わっています。魚、肉、卵、豆類、野菜などに含まれるため、不足することはありません。
パントテン酸は、水溶性のビタミンB群で、ビタミンB₅とも呼ばれるビタミンB群で、補酵素のコエンザイムの構成成分であり、たんぱく質、脂質、糖質のエネルギー代謝の補助役として必須となります。皮膚や粘膜の健康維持に関わり、HDLコレステロール値の上昇、抗ストレス作用のある副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成、免疫抗体の合成、解毒などの作用にも関与しています。食品では肝臓、肉類、魚介類に含まれますが、加熱や加工によって失われやすくなっています。
ナイアシンは、水溶性のビタミンB群に分類されるニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB₃とも呼ばれます。体内では最も多いビタミンで、糖質、脂質、たんぱく質からエネルギーを産生する過程で補酵素として働きます。アルコールから発生する毒性の強いアセトアルデヒドを分解する際の補酵素としても働きます。食品では、カツオ、マグロ、たらこ、レバーなどに多く含まれます。
葉酸は、水溶性のビタミンB群で、ビタミンB₉とも呼ばれます。ビタミンB₁₂とともに新しい赤血球を正常に作り出すために必要であることから、造血のビタミンとも呼ばれます。タンパク質や細胞新生に必要な核酸を合成するために欠かせず、血液中のホモシステインを減少させる作用があります。ホモシステインは血管内皮を傷つけることで弾力性を失わせ、動脈硬化を促進させるため、葉酸を摂ることで動脈硬化の予防が期待されます。食品では、緑黄色野菜に多く含まれます。