発達栄養学123 肉が食べられない子どもの対応

肉は子どもが比較的好きな食材で、以前に比べると幼いときから肉に多く含まれる脂肪に慣れていることもあって、肉が食べられない子どもは減ってきました。しかし、食べられないことを訴える子どももいて、その対処のために苦労をしている保護者も少なくありません。肉が固くて、噛み切るまで時間がかかることが原因になっている場合には、まずは軟らかな肉、脂肪が多めで口の中で溶けやすいものを選びます。肉を焼く前には叩いて筋を軟らかくする、包丁で切れ目を細かく入れることで筋を切るという下処理をします。
冷蔵した肉を調理するときには、冷蔵庫から出したあと、常温に置いておき、肉の中心の温度が上がっていくのを待ってから加熱するようにします。この方法によってフライパンの熱が均等に肉の内部まで伝わるようになり、肉汁も流れ出しにくくなってパサつきを防ぐことができます。それでも肉の食感が気になる場合には、ひき肉を使うか、肉の味を感じにくくする味付けの工夫も必要になります。
肉の味や食感などが原因ではなくて、心理的な要因による場合もあります。牛が大きくて怖い、豚が汚れた場所で育てられていた、鶏に突かれそうになった、といったことが心理的なプレッシャーになって食べられないこともあります。また、動物に愛着を持っている子どもの場合には、可愛がっているものを食べることに拒否反応があり、これを解消しないことには小手先の対応では通じなくなっています。
ある程度の年齢が進んでくると、肉を食べると翌日か翌々日の便通がよくないことがあり、それが気になって肉の好まなくなる子どももいます。腸内細菌の悪玉菌は動物性たんぱく質と脂肪を主な栄養源としているため、肉食が増えると悪玉菌が増えて便通が悪くなります。善玉菌は糖質と食物繊維が主な栄養源で、善玉菌を増やすことによって悪玉菌を減らすことができることから、糖質と食物繊維を多めに食べるようにします。善玉菌の代表的なものはビフィズス菌で、子どもは特にビフィズス菌が多いので、ビフィズス菌の栄養源になるオリゴ糖を摂ることも効果があります。