発達栄養学13 代謝に必要な微量ミネラルの役割3

代謝に必要な9種類の微量ミネラルのうち、モリブデン、クロム、コバルトについて紹介します。これらは微量ミネラルの中でも特に体内では少ない量で保たれているので、不足すると健康維持の機能に大きな影響が出ることになります。普段は必要性について語られることが少ないミネラルですが、不足しないように、多く含まれる食品を知っておきたいものです。
モリブデンは微量元素の必須ミネラルの一種で、肝臓と腎臓に多く存在し、体内の過酸化物質を分解する酵素の成分であり、細胞の酸化を防ぐ抗酸化作用があります。造血作用、尿酸の生成、有害物質の排泄などに必要な成分であり、肝臓や腎臓の酵素の活性、糖質と脂質の代謝、鉄の吸収率の向上などの働きがあります。食品では、そば、豆類、レバーなどに多く含まれます。
クロムは糖質や脂質の代謝に関わるミネラルで、体内では肝臓、腎臓、脾臓、血液に存在しています。インスリンが細胞の受容体と結合してブドウ糖を取り込む働きを改善して、血糖値を低下させる作用があります。また、クロムには脂質代謝を促進して血液中の中性脂肪やコレステロールの量を正常に保つ働きもあります。食品では、レバー、エビ、穀類、肉類、ナッツ類、豆類、キノコ類などに多く含まれます。
コバルトはビタミンB₁₂の構成成分で、骨髄で赤血球を作るときに必要となります。赤血球のヘモグロビン(血色素)の生成に必要で、神経の働きを正常に保つためにも使われます。不足すると神経作用に影響が出やすく、脳の発達にも影響が出るだけに、不足は避けなければなりません。食品では、あまのり、いわのり、しじみ、赤貝、あさり、レバーなどに多く含まれます。海藻のほかは動物性食品に含まれるため、肉類、魚介類を避けている人は不足しがちになります。