粘度の高い物質の処理に白血球が働きすぎる

免疫細胞の白血球は有害物質を破壊するときに活性酸素を発生させていますが、粘度が高いタバコのニコチンやタールなどは白血球の中に残りやすく、これを処理するためには一度の活性酸素の発生では足りず、繰り返し活性酸素を発生させています。そのためにタバコを吸うと体内で活性酸素が大きく増えることになるのです。
タバコを1本吸うと体内のビタミンCが25mg破壊されるといわれています。ビタミンCは活性酸素によって破壊されやすい抗酸化成分で、白血球の中にはニコチンやタールが残りやすいために活性酸素の発生によってビタミンCが破壊されます。ビタミンCが体内で不足している場合には、他の抗酸化成分のビタミンAやビタミンEも破壊されていますが、これまでタバコと抗酸化成分の関係については破壊されやすく、結果がわかりやすいビタミンCでの試験がほとんどであったことから、他の抗酸化成分については明らかにされていませんでした。
また、タバコから発生する煙は肺に入ると、マクロファージによって多くが取り込まれています。マクロファージは白血球であることから白い色をしていますが、煙を多く取り込むと徐々に色が黒くなっていきます。それだけタバコの煙の影響を受けやすいわけですが、マクロファージは多くの煙を取り込んだ結果、マクロファージの内部で処理をするために活性酸素を多く発生させ、それが外に漏れ出て身体にも大きな被害を与えることになります。
タバコの煙に含まれるニコチンは自律神経系の交感神経を刺激して副腎からノルアドレナリンやアドレナリンなどのカテコールアミンを分泌させます。カテコールアミンには心拍数と血圧を上昇させるだけでなく、冠動脈を収縮させる作用もあります。喫煙によって、タバコを吸っているときだけでなく、吸っていないときにも酸素が不足するため、酸素を早く全身に送り届けるために交感神経の働きが盛んになって血圧が上昇するのです。
体内の酸素が不足すると細胞のミトコンドリアでエネルギーを作り出すときに不完全燃焼になりやすく、そのために活性酸素が多く発生するようになります。
喫煙をするとインスリン感受性が低下して、血液中のブドウ糖が処理しきれなくなり、高インスリン血症となります。そのために膵臓が疲弊してインスリン分泌量が減り、血糖値が上昇していくことになります。タバコがインスリン感受性を低下させると、血液中のインスリンが増えてエネルギーを蓄えるようになり、その結果、中性脂肪が増えていくことになります。このようにブドウ糖や中性脂肪が増えると、それをエネルギーとして燃焼させるときに活性酸素が多く発生するようになるのです。