発達栄養学19 代謝促進成分の補給法

エネルギー産生の役割をするミトコンドリアは筋肉細胞の中には特に多く存在しています。運動をすると、筋肉細胞のミトコンドリアで多くの代謝促進成分が使われます。そのために他の細胞で使われる代謝促進成分が減ることになり、その細胞の代謝が低下することになります。
ミトコンドリアの中では代謝の結果としてエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が産生されるわけですが、このATPが細胞を働かせるエネルギーとなっています。ATPが多く産生されるほど細胞の機能が高まり、内臓や脳機能、神経伝達、ホルモン分泌、免疫なども高めることになります。ATPの産生が減少して機能が低下しないようにするためには、代謝促進成分を補うことが重要になります。
代謝促進成分のα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は食品にも含まれています。α‐リポ酸は酵母、動物の肝臓・腎臓、ホウレン草、ニンジン、トマトに多く含まれています。L‐カルニチンは肉類に多く含まれ、中でも羊肉の含有量が多くなっています。コエンザイムQ10は鰯、鯖、牛肉、ピーナッツ、ブロッコリーなどに多く含まれています。
これらの食品を食べれば摂取できるように思われがちですが、代謝促進成分は体内で合成されているため、食品からは吸収されにくくなっています。食品からは摂りにくいものの、それぞれの代謝促進成分は吸収することができます。コエンザイムQ10の吸収率は1%ほどです。α‐リポ酸は空腹時では20%ほどが吸収されますが、食後はほとんど吸収されないので食前の摂取が必要です。
つまり、吸収率に違いはあってもサプリメント成分としては吸収されるというわけですが、サプリメント(supplement)は補助、補充という意味があり、まさに代謝促進成分は加齢によって体内で不足する分を補うことができる“サプリメント”ということがいえます。