発達栄養学32 肉類を多く食べると血流が低下する

成長のためには動物性たんぱく質が必要ですが、肉類には脂肪も多く含まれています。日本人は血液の温度が低いために、血液中で脂肪が固まりやすく、そのために血流が低下しやすいという体質的な弱点があります。
日本人の血液温度は37〜38℃となっています。それに対して羊は約44℃、牛と豚は約40℃、鶏は約42℃の血液温度となっています。羊や牛などの獣肉に含まれる飽和脂肪酸は高めの温度で血液の中で溶けています。血液温度の差が大きいほど飽和脂肪酸は固まりやすくなります。欧米人や大陸のアジア人の血液温度は38〜39℃と高めで、飽和脂肪酸の影響は比較的出にくくなっています。それに対して、日本人は1℃の差であっても、飽和脂肪酸が固まりやすく、血液の粘度が高まり、それだけ血流が低下しやすくなっているのです。そのために血液によって全身の細胞に送られる酸素や栄養素の供給が低下して、細胞から排出される二酸化炭素や老廃物の除去も遅れるようになります。
獣肉類が恒温動物であるのに対して、魚類は棲息する環境によって体温が変化する変温動物です。そのために魚類は水温に合わせて血液温度が変化して、温かな環境でも冷たい環境でも生き延びることができます。環境によって温度に差はあるものの、水の中に棲んでいるので人間の血液温度よりも低いのは当たり前のことです。その低い温度で溶けているのが不飽和脂肪酸なので、それよりも温かな人間の血液の中では、さらに溶けやすくなり、サラサラの状態になるというわけです。
日本人は飽和脂肪酸が血液中で固まりやすいのに対して、血液温度が高めの欧米人などは、動物の血液温度に近い分だけ、日本人よりも飽和脂肪酸が固まりにくくなっています。つまり、同じだけの脂肪が含まれた肉類を食べても欧米人は健康被害が出にくく、逆に日本人は肉食を増やすと脂肪による健康被害が出やすいということです。