発達栄養学96 抗酸化ビタミンの組み合わせ

活性酸素は細胞を傷つけ、破壊することで皮膚や血管、内臓などにも影響を与えることが知られています。活性酸素は内臓や器官が働くときに、細胞の代謝が盛んになり、その結果として多く発生します。一般には吸い込んだ酸素のうち2〜3%が活性酸素になるとされています。細胞のミトコンドリアでエネルギー代謝が行われるときに、酸素が充分にあり、代謝が正常に行われていれば活性酸素の発生量は多くはなりません。これは木材などが完全燃焼したときに煙の量が少ないことに例えられていて、不完全燃焼をすると煙の量が多くなります。その不完全燃焼の結果が多く発生する活性酸素ということです。
活性酸素は電子のバランスが崩れたもので、通常の酸素はプラスとマイナスの電子が4対ずつあります。活性酸素はマイナス電子が一つ欠けていて、マイナス電子を他のものから奪うことによって正常な酸素に戻ります。電子を奪われたものが細菌であれば、細菌の核が破壊されて退治することができます。そのことから活性酸素は免疫の一つと考えることができます。
問題となるのは奪われたのが人間の細胞の場合で、体内で多くの活性酸素が発生すると多くの細胞を破壊していきます。これを防ぐ仕組みが体内にはあり、活性酸素を消去する酵素のSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼが体内には備わっています。この酵素は加齢によって数が減り、それぞれの抗酸化能力も低下していきます。
これを補うのが抗酸化ビタミンで、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが体内で働いています。ビタミンAとビタミンCは活性酸素を消去すると破壊されますが、ビタミンEはマイナス電子が奪われて、欠けたままで存在しています。そのために細胞からマイナス電子を奪うことにもなります。マイナス電子が欠けた酸化ビタミンEには、ビタミンCがマイナス電子を与えます。こういった仕組みになっているため、活性酸素の除去にはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEを一緒に摂ることが大切で、この3種類は抗酸化ビタミンの“ACE”(エース)と呼ばれています。