発達障害がある人は神経伝達物質のセロトニンが不足していることが指摘されています。特に自閉症スペクトラム障害では社会性コミュニケーション障害に関わることが明らかにされています。セロトニンは精神の安定性や平常心、ストレスに対抗する成分で、精神安定剤と似た構造をしています。
セロトニンは抑制作用があり、亢進作用があるドーパミンやアドレナリンの働き過ぎを抑える作用があります。そのため、セロトニンが不足すると、興奮しやすくなり、そしてブレーキが効きにくくなります。これは自動車のアクセルを踏み込みすぎると、ブレーキが効きにくくなってしまうことに例えられています。
セロトニンは神経細胞の端末にある小胞から放出されて、隣り合っている神経細胞の表面にある受容体でキャッチされています。このセロトニン受容体の働きが低下していると、セロトニンの分泌量が一定に保たれていてもセロトニンの作用が低下することになります。
セロトニン受容体で受け取られたセロトニンのうち90%ほどは役割を終えると分解されますが、残りの10%ほどは放出された元の神経細胞に再吸収されます。この再吸収の効率が発達障害では低いことが指摘されています。
セロトニンが不足すると不眠症やパニック障害、うつ、不安感になりやすいことが確認されています。発達障害の原因のすべてではないとしても、発達障害の状態を進め、改善されにくくなる要因になっています。
セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンを材料にして、体内で合成されています。必須アミノ酸が多く含まれるのは肉、魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品といった良質なたんぱく質であるので、これらの食品が不足しないようにするのが、改善の第一歩ということになります。