発達栄養126 親に寄せた選択

子どもの発達には栄養の質と量の摂取は重要なことです。祖父母世代には、幼い子どもには親が選んだものを食べさせていればよい、好き嫌いを言っても食べるべきものを食べさせるべきという考えも通じていたかもしれませんが、子どもが食べたがらないものを無理に食べさせることは今の優しい親の世代には、なかなか決断がつきにくいところです。

子どもが好きだと言って食べているもの、食べたがらないものがあると、それを頭から信じてしまうことがありますが、子どもなりの気づかいもあって親に喜ばれることをしよう、少なくとも嫌われることはしないという子どもが増えています。

発達障害児は食の困難さがあって、食べられないものがあるというのは、好き嫌いの範疇を超えていることが多くなっています。味覚過敏、嗅覚過敏、聴覚過敏、触覚過敏、視覚過敏ともに、過敏すぎる反応であることから、これを無理強いして食べさせることはできません。

子どもが嫌がらずに食べているものなら、少なくとも過敏による困難さはないだろうと考えがちですが、実際には子どもが我慢しながら食べていることもあります。発達障害児は、知的障害ではなく、感性が鋭い特性があり、親が苦労していることもわかっています。

親に迷惑をかけないようにと、自分を抑えてでも親に寄り添おうとするところがあります。

このことには個人差があり、千差万別の反応があるので、見抜きにくく、子どもが好きで食べていると思い込んで対応してしまうところがありますが、少なくとも親に寄り添った行動をすることは理解してほしいことです。

例は食事とは違うのですが、ランドセルの色を選ぶときに、自分が好きな色ではなくて親に喜ばれる色を選ぶ場合があります。そのような斟酌(しんしゃく)があることを理解して、本当に食べたいものなのか、無理をしていないのかという気づかいは保護者に求められることです。

(斟酌は忖度(そんたく)と間違って使われることがあります。斟酌は相手の心情を考慮して取り計らうこと、忖度は相手の気持ちを考えることで、意味合いが違っています)