発達栄養91 食物アレルギーによる極端な偏食

食物アレルギーがあると、それを少しずつ摂取することで克服させようとする指導がされることがあります。定型発達(発達障害でない)の子どもであれば、アレルギーが出ても大きな影響がない量を摂取することで抵抗力をつけていく方法が有効になることもあります。そして、アレルギーを起こす物質が含まれている食品でも、徐々に摂取していくことで、食品の栄養成分によって抵抗力をつけることも可能となっています。

ところが、発達障害の場合には、アレルギーの記憶が薄れずに、アレルギーを経験した食品が食べられなくなり、食品の栄養素による有効性を得ることができないということも起こりがちです。

アレルギー物質を除去するのが改善の最善の手段とされた時代もあります。アレルギー物質さえ摂らなければアレルギーは起こらないという発想ですが、アレルギー物質を避けるために、ある特定の食品は何も食べられないということもありました。肉類では、アレルギーを起こすものを外していったところ、カエルやヘビなどしかないという不幸なことも過去にはあったのです。

現在では免疫学の研究が進み、過剰な免疫反応を抑制するTreg細胞(制御性T細胞)の働きが解明されて、免疫機能が正常であれば、少量ならアレルギー物質を摂取しても対応できる仕組みがあることがわかりました。

ただ、Treg細胞の働きが低下する条件があることもわかりました。それは疲労、睡眠不足、ストレス、かぜ、生理、温度や湿度の変化、医薬品、花粉などで、これらを避ける生活がすすめられているものの、発達障害児はストレスが強く、自律神経の調整が乱れやすいことから、Treg細胞の働きが充分でないことが指摘されています。
そのため、定型発達児よりもアレルギー物質への配慮が重要になっているのです。