発達栄養98 冷めた料理しか食べない子ども

食事は温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままで提供するのが、おいしく食べるための基本となります。温かいものは60℃以上、冷たいものは12℃以下が標準となります。70℃を超えると熱く感じます。

発達障害児にみられる感覚過敏では、60℃であっても70℃以上に感じて、熱すぎて食べられないということがあります。そのために冷めたものしか食べられないということがあるのですが、それだけでなく、冷めた料理しか食べられないということがあります。

その理由を説明するために、一般的な感覚として、なぜ温かい料理をおいしく感じるのかということを説明します。温めると味覚が強く反応すると感じているかもしれませんが、温めることによって味覚の反応が高まるのは、つまりおいしく感じるのは嗅覚の反応が高まっているからです。

おいしさは味覚と同時に嗅覚も働いていて、温かい料理は匂い成分が発散されて、嗅覚が強く刺激されます。そのために味覚の反応も高まり、おいしさを感じやすくなるのです。

発達障害の感覚過敏が疑われるときには味覚の検査がされますが、特に異常はみられないのに、味を強く感じるために食べられないということが起こります。これは味覚だけを検査しているから気づかないことで、食べるものの温度を変えて検査をする、しかも味覚と嗅覚の関連性を知っていて検査をすればよいのですが、まだ別々に試験が行われています。

味覚過敏、嗅覚過敏のために食べられないという場合には、料理の温度を変化させて、どの程度に温度を下げれば刺激が減って食べられるようになるのか、それを確認することも大切になります。温度の違いで食べられるものが違うということを知って、できるだけ多くの栄養素が摂れるように工夫をしてほしいのです。