発達障害と関連があるひきこもり

発達障害の特徴について、「発達障害者支援ハンドブック2020」で解説とともに問題点が指摘されています。発達障害と関連性がある社会現象の中からひきこもりについて紹介します。
ひきこもりは、同じ場所にじっとしていて出てこないことを指す言葉ですが、社会問題化しているのは学校や仕事に行けずに家にこもり、家族以外とほとんど交流がない人の状況を指しています。厚生労働省は、この状態が6か月以上続いた場合をひきこもりと定義しています。
内閣府はひきこもりの実態を把握するために若年層(15〜39歳)を対象にして調査をしてきましたが、ひきこもりが長期化する例が増えてきたことから、中高年層(40〜64歳)を対象とする調査を行いました。その結果、中高年層のひきこもりは61万人を超え、若年層の54万人ほどよりも多くなっていることがわかりました。
ひきこもりは単に不登校が長期化したものではなく、社会に出ることへの不安や当惑が、社会との心理的な距離が最も遠いところから動けなくしてしまっている状態と考えられます。社会に参入する前にある障壁が限りなく高くて越えがたいものに見えて、不安でたまらない状態です。
不安にさせる原因の一つは、不登校などによる具体的な準備の不足と考えられます。小さな挫折体験の積み重ねが自信を失わせ、社会へのハードルを高くしていることも考えられます。また、抑うつ的になっている人の自分に対する誤った認知や、被害的になっている人の周囲に対する誤った認知が壁を越えがたいものに思わせていることも影響しています。
ひきこもりの要因としては、発達障害、精神疾患、どちらでもない人の3群に分けて考えられるのが実際的です。このうち発達障害のある人への対応としては、社会に出ていくための具体的なスキルを獲得して、自立にいたる現実的な道筋を見つけていくことが重要と考えられます。
発達障害の子どもをめぐる社会現象は、虐待、いじめ・からかい、不登校、ひきこもりだけでなく、ネットゲーム依存、触法行動(刑罰法令に触れる行為)、自傷行動、性非行などを加えることができます。