発達障害の食事指導は大変だと言って避けていられるのか

発達障害児の自閉症スペクトラム障害には、極端な偏食がみられます。これは感覚過敏による五感の反応が大きな原因になっているもので、味覚、嗅覚、視覚、触覚、聴覚が過敏に反応するために、当たり前と思われる食事の感覚が大きく異なってしまい、食べられないものが多く存在しています。
日本メディカルダイエット支援機構が実施しているダイエット指導の中で、本人が食べたくないと言っているのだから仕方がないと放っておくことができるようなものなら、まだよいとしても、成長期の子どもが身体の成長に必要な栄養素が摂れないようなことになると、「食べられないなら、食べられるようになるまで待とう」などと言っていられるような状況ではなくなります。
身体の成長だけで終わらず、発達障害は脳の成長も重大な問題となります。脳の発達のバランスが崩れているので、遅れている部分の発達を促進するために必要な栄養素を多く摂ることが必要になります。標準的な量を摂るだけでよいということではありません。ましてや、発達障害は、自閉症スペクトラム障害にしろ、注意欠如・多動性障害にしろ、学習障害にしろ、精神的な負荷が強くて、それだけ疲れやすく、そのために脳の働きを保つために多くのエネルギーが必要になります。
だから、必要な栄養素を欠かすことがあってはいけないので、あらゆる食品から、すべての栄養素を摂る必要があります。脳のエネルギーを多く作り出すためには、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が必要ですが、このブドウ糖を脳細胞のミトコンドリアに取り込むために必要なα‐リポ酸が重要になります。α‐リポ酸は体内で合成されていて、その合成量のピークは20歳とされているので、一般には18歳未満の発達障害児は不足することはないと考えられがちです。
激しく身体を動かすアスリートは20歳以下であっても、α‐リポ酸は不足しがちです。いくら身体の中で合成されているといっても、ブドウ糖を多く取り込んでエネルギー化しなければならないほど消費量が多くなり、不足することにもなります。それと同じことが、発達障害児の場合には起こっているということです。