発達障害はゲーム依存症が出やすいのか

ゲーム依存症という言葉は、これまでは病名ではなくて社会的な呼び名のようなところがありましたが、これからは病気の一つとして治療対象になっていきます。このことを決めたのはWHO(世界保健機関)で、2018年5月に病気の名称と症状を示す国際疾病分類にゲーム障害を加えました。これを受けてゲーム障害の原因となるゲーム依存症も早期発見、早期治療の対象とされるようになったということです。
国際疾病分類によると、ゲームをする時間や頻度を自ら制御できない、ゲームを最優先する、問題が起きているのにゲームを続ける、といった状態が12か月以上続いているうえに、社会生活に重大な支障が出ているとゲーム障害と診断されます。ゲーム障害は、中毒のようなものと考えられていますが、中毒症状では要因から離れると状態が悪くなることが知られています。ゲーム障害ではイライラのために他人に八つ当たりする、朝起きられない、自律神経の調整が乱れて昼夜の活動が逆転するといったことが起こりやすくなります。
ゲーム依存についての全国調査が実施され、過去1年間にゲームをした10〜29歳の4400人を対象にして調べられたところ、1日あたりのゲーム時間は1時間未満が40.1%、1時間以上2時間未満が27.1%、2時間以上3時間未満が14.6%となっていて、中には6時間以上という、これは間違いなく依存症という場合も2.8%いました。
これは当たり前のコメントですが、全国調査によると1日当たりのゲーム時間が長いほど、ゲームを止めようとしても止められなかった、学業に悪影響が出た、仕事を失ってもゲームを続けた、睡眠障害が出てもゲームを続けたという答えが多くなっていました。
発達障害の自閉症スペクトラム障害は、こだわりが強くて、引きこもってでも一つのことに熱中して続けてしまうことがあり、簡単にスマホでゲームができる環境では、ゲーム障害に陥る可能性が高いということです。また、ゲーム依存症からゲーム障害に進むかは自律神経の調整能力に関わっていて、発達障害児は自律神経調整が乱れやすいので、ゲーム障害になる可能性が特に強いということを意識して、対応してほしいのです。